タブレットをサイネージに利用!スーパーでの導入事例

公開日: : 最終更新日:2014/12/11 WEBマーケティング, 企業でのモバイル活用事例, 販促

最近、流通業、特にスーパーの食品売り場を中心に、小型液晶型の商品POPを目にする機会が増えてきました。スーパーは陳列方法を含め、POPに対して大変力を入れている業態のひとつですが、タブレットが爆発的に普及してきたここ1,2年の間で多くのスーパーがタブレットを活用したデジタルサイネージを導入してきています。
ここでは、スーパーにおけるスマートデバイスを活用したデジタルサイネージ事例について、現時点での導入パターンの類型を整理するとともに、導入コストや先進的な取組について記載したいと思います。

デジタルサイネージ導入の背景とパターン

スーパーにみられる液晶型POPですが、店頭に置かれている大画面型のテレビのようなものから、個別商品をアピールする小型タブレット型のようなものまで多様化しています。デジタルPOPは、既存の紙POPと比べて、音も出ますし、動画も再生可能ということで視覚・聴覚共に強いアピールができることが対顧客視点では大きなメリットとなっています。
一方内部的には、POPの変更に伴う業務コスト(制作、交換に伴う人件費)も削減できることと併せ、各店舗でのPOP統一化(このあたりは後述します)も図れることから、スーパーのような店舗にとって、デジタルサイネージは効率的なプロモーション手法であることがいえます。
ここ数年で液晶パネルの値段が大幅に下がってきたこともスーパーなどの流通業でデジタルサイネージが大幅に導入されている大きな内部要因です。

下図にスーパーにおけるデジタルサイネージの設置パターンを整理してみました。
ruikei
縦軸は、「何をプロモーション主体としているか」を表しており、横軸は「誰がプロモーションの主体(コスト負担者)か」を表しています。

プロモーション主体はメーカー型と店舗型の2パターン

食品メーカーの個別商品アイテムをアピールしているようなケースでは、メーカーがコスト負担してサイネージを設置していることがほとんどで、それ以外は概ね店舗が独自の商品をアピールするために設置しています。

伊藤ハムの事例

itoham
こちら、端末自体に伊藤ハムのロゴが印刷されていますね。
伊藤ハムのマーケティングコストで端末と映像コンテンツを用意し、各スーパーに設置しているものと考えられます。
メーカーの販売支援のため、店舗側としては自社負担なくデジタルサイネージを設置することができますが、一方でそれ以外の商品の宣伝は当該端末では出来ないという縛りもでてきます。

店舗主体型では関連購買も視野に入れた提案も

一方店舗主体型のデジタルサイネージでは、店舗入り口周辺に設置した大型TVで本日の特売をアピールしたり、店舗内の商品棚でおすすめ商品をアピールしたりと、店舗側の販売施策が直接的に反映されたものとなります。
image21
表示させるコンテンツとしては、食材単品のみならず、食材を利用したおすすめメニューの提案を行うことにより、食材周りの調味料などの関連購買を促すような工夫も見られます。

機器構成はスタンドアローン型とネットワーク型の2パターン

実際に、デジタルサイネージを表示させるためのシステムはどのようなものがあるのでしょうか。
これには大きく2つの方法があります。
1つ目は、SDカード等のメディアをデバイスに挿入することにより、コンテンツを呼び出す方法です。
この場合、デバイスに通信機能(wifiや3Gなどの携帯電話回線)を持たせる必要はなく、単純なシステム構成となりますので、自店舗で1台や2台といった、比較的小規模な導入には適しているかも知れません。
ただし、コンテンツの更新都度SDカード等のメディアを抜き差しする必要があるため、多店舗に設置するなど、設置台数が多くなる場合には、ややオペレーションに課題が生じます。

そこで最近多くなってきてきているのが、2つ目の方法である、管理者がコンテンツを配信するという形でコンテンツを管理するネット―ワーク型になります。
この場合、端末側にはwifi等の通信機能が必須となりますが、タブレットであれば、ほとんどの機種はwifi機能がついていますので、端末側のハードルはさほど高くはありません。
また、コンテンツは全端末に一斉配信も可能(このあたりはCMSにもよりますが)なため、コンテンツの更新作業が台数比例にならないこともメリットとなります。

一歩進んだサイネージ事例:felicaと連動

今後導入が進んでいくことが想定されるネットワーク型のサービスですが、通信キャリアも力を入れ始めています。
例えばドコモではfelica通信機能のついた独自端末とASPをセットにしたサービスの展開を始めています。
docomos
こちら、デジタルサイネージとして販促画像や動画を流すことと同時に、顧客がおさいふケータイで専用端末にタッチすることにより、クーポンやサイトの誘導を行うことができるものとなります。
コストですが、ドコモのサービスの場合、専用端末の購入代とあわせて、情報配信に関わるASP利用料が980円/月かかることに加えて、毎月のデータ通信定額料が2,000円弱かかるようです。
もともと自店舗にwifi通信インフラがある場合ですと、わざわざドコモに通信料を支払って通信する必要性はないのですが、このあたりは通信キャリアの提供サービスということで、必然的に通信回線がセットになるようです。。

一歩進んだサイネージ事例:ショッピングカートに設置

こちらは韓国の通信キャリアであるSKテレコムが2011年に中国で試験サービスとして行ったショッピングカートに直接タブレットを設置するという斬新な事例です。
SK
店舗内の商品の位置を知らせてくれたり、顧客が店内を回遊し、割引商品等の近くを通ったタイミングで情報をポップアップ表示してくれたりするみたいです。
また、スマホ向けのアプリも提供しており、スマホとのシンクロも可能のようです。
今後の展開としては、購買履歴等から顧客の好みを分析し、顧客に対して商品のレコメンドをタブレット上で行うようなことも検討しているみたいでした。
顧客単価の向上施策として、非常に面白いアイデアだと思います。

導入コストはピンキリ

さて、これらの導入コストですが、ピンキリです。
コストの内訳としては大きく
・端末購入費用
・サービス提供費用
の2つとなります。
端末に関しては7インチのタブレット(wifi専用)であれば安いものでは10,000円未満で購入可能なので、論点はサービス提供に関わる費用となります。
そしてサービス提供費用ですが、端末に情報を表示させるコンテンツと表示方法によって大きく変動します。
最も安く済ませる方法は、PCで制作した動画や画像コンテンツをSDカード経由でタブレットに表示させる方法になると思います。つまりスタンドアローン型でサービスを構成する方法となります。
逆に、情報配信するためのCMSを導入するようなネットワーク型での提供を考えると、CMSの構築費用もかかってきますので、このあたりの導入費用が重んでくると考えられます。
スタンドアローン型にするかネット―ワーク型にするかは、前述のとおり導入台数や情報の更新頻度に関係してきますので、これらを考慮したうえで意思決定が必要になります。
情報配信アプリは今後色々出てくるでしょうからこのあたりは今後に期待といったところでしょうか。

さいごに

今回、流通業、特にスーパー向けのデジタルサイネージについて考察してみました。ポイントとしては、
・スーパーにおけるデジタルサイネージの類型は、店舗主体型とプメーカー主体型の2パターン
・プロモーション対象の類型は、個別商品と店舗全体の2パターン
・デジタルサイネージは、紙POPと比較し、顧客に対しては目立つ点、内部的には運用効率の面で優れている
・サイネージ導入コストは、端末価格の下落により昔よりは相当安くなってきた。
・スタンドアローン型にするかネットワーク型にするかは、導入する端末の台数と情報更新頻度で決定すべき
・顧客単価を上げるための様々な工夫が検討できそう
といったところでしょうか。

おそらく、今後、スーパーではデジタルサイネージの用途も含め、タブレットを活用したプロモーション企画が次々と出てくるものと思われます。僕自身もいろいろアイデアはありますが、ここではここまでにしておきます。

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