美容室におけるタブレット活用事例

公開日: : 最終更新日:2014/12/11 その他, 企業でのモバイル活用事例, 使えるアプリ紹介, 販促

ここ最近、接客業でもタブレットが使われる事例が増えてきました。
個店のレジや居酒屋等のオーダーシステムなどにipadやandroidの端末が使われていたりと、現在接客業において様々な利用シーンを確認することができます。
現状、接客業におけるタブレットの用途としては、業務寄りな利用例が多くみられますが、ここ最近になって、美容室やサロンなどでは、CRMの用途として積極的な事例も確認できるようになりました。
ここでは、美容室向けタブレット導入事例を確認してきたいと思います。

縮小する市場と競争の熾烈化により、一層厳しい理美容業界

2013年4月5日に矢野経済研究所から発表された資料によると、2012年度の理美容業界の市場規模は前年度比99.4%の2兆2,265億円(事業者売上ベース)と推計されています。うち、理容市場が6,690億円(前年度比99.0%)、美容市場が1兆5,575億円(前年度比99.5%)です。

市場規模、店舗数共に減少傾向の理容業界

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出所:「理美容市場に関する調査結果 2013」,矢野経済研究所、「平成24年度衛生行政報告例」厚生労働省 より作成

先ず、理容業界から確認してみます。 理容業界の市場規模は一貫して右肩下がり、併せて店舗数自体も減少傾向のようです。男性若年層の利用離れ、顧客の高齢化に伴う来店サイクルの長期化、QBハウスのような格安理容院の台頭などにより、廃業を余儀なくされる理容院も少なくありません。

美容業界は、市場規模の減少に加え店舗数の増加に伴い、熾烈な競争環境へ

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出所:「理美容市場に関する調査結果 2013」,矢野経済研究所、「平成24年度衛生行政報告例」厚生労働省 より作成

次に美容業界です。 美容業界も来店サイクルの長期化や顧客単価の下落などの要因により、市場規模は減少傾向です。 一方、店舗数自体は増加の一途を辿っており、美容室間の競争が激化している様子がうかがえます。

当然店舗当たり売上も減少傾向

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出所:「理美容市場に関する調査結果 2013」,矢野経済研究所、「平成24年度衛生行政報告例」厚生労働省 より作成

店舗数も減少している理容院では、店舗あたり売上の大幅な減少傾向は確認できませんが、市場規模が縮小している一方、店舗数が増加している美容室の店舗当たり売上は当然ながら一貫して下落傾向です。 これにより、特に美容室においては、店舗あたり売上を向上させるための、「顧客数」と「客単価」をいかに増加させていくかが、重要な課題といえそうです。

既存顧客の再来店率と来店頻度は重要テーマ

先に「顧客数」と「客単価」というワードを出しましたが、特に「顧客数」の確保は重要な課題であると考えます。 美容業界では、「客単価」を向上させるために、基本的なサービスであるカットやパーマのみならず、ネイルやフェイシャルエステ、着付け等のトータルビューティーサロン的な動きや、オーガニック化粧品等の物販等によって、客単価を向上させる施策がみられますが、残念ながら、消費者物価指数の視点でみると、理美容業界の消費者物価指数は全体の平均より悪化しています。
つまり、顧客の財布のヒモが早期に緩むことは直近では期待できそうにない状況のなか、大きな流れとしては既存のパイの奪い合いという構図になるという見方が自然と考えます。
この「顧客数」をいかに確保していくかという論点を分解すると、大きくは「新規顧客の増加」「既存顧客の増加」の2点で論じることができますが、費用対効果の面で効率が良いのは、「既存顧客の増加」ですね。 新規顧客や既存顧客をいかに自店舗に根付かせることができるかが非常に大きなテーマになります。

顧客のスタイリング履歴をタブレットで管理

と、少し前置きが長くなりましたが、美容室向けのCRMツールとしてタブレットを活用したサービスを紹介してみたいと思います。

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画像クリックでサービスサイトへ

ソフトウェアなどの開発を行うユニティーベルでは、主に顧客の施術後の写真を記録・蓄積するサービスをタブレットで提供するサービスを行っています。写真を蓄積することにより、次回顧客来店時のカウンセリングに活かしたり、店員間での情報の共有などに利用することで、顧客の囲い込み施策として提案しているようです。
顧客としても、以前までのデータが残っていることによって、「前と同じでいい」とか「前はこうだっだけど、今度はこうしよう」といった具合に、よりオーダーのイメージがしやすくなるのではないでしょうか。
確かに、「前と同じで」とオーダーした際に「じゃあ全体的に大体2cmくらいですかね」と言われるよりも、前回の写真に基づいてカットしてもらったほうがオーダーする際に安心感もありますし、楽です。
これがリピート率の向上につながるというのは、何となくうなずける話です。

コストは月額10,000円強

このサービスですが、写真蓄積と併せて、簡単なカルテ機能や、顧客ごとにIDを発行し、顧客自身が自分のスマホなどでもデータを確認できるような機能も付加されている、いわゆるクラウド型のサービスとなっており、美容室に特化したCRMツールといえます。
価格は初期導入費用が37,800円、月額費用が10,500円となっており、400ユーザーまでの顧客管理ができるとのこと。
※但し36か月の最低利用期間が定められており、期間内の解約時には残月数分の月額利用料を一括して精算する必要あり
この金額が高いか安いかは、お店ごとの判断によるとは思いますが、いずれにせよ顧客の施術写真を蓄積し次回以降に活かすという点については有効かと思います。

写真を蓄積するだけならタブレットの基本機能だけでも十分

写真の蓄積による顧客囲い込みですが、先ずはスモールスタートで始めるということであれば、単純にタブレットで写真を撮影し顧客ごとにフォルダに整理しておくことで代替することも可能です。
画像の保管先ですが、とりあえずはタブレットのハードディスクに蓄積していってもよいですし、Dropbox等のストレージサービスを活用してもよいと思います。ハードディスク保存であれば、月額利用料がかかることはありませんし、かなりお手軽なかたちでCRMを始めることが出来ると思います。

さいごに

理美容業界、特に理容業界は市場の縮小に加え、競合店舗の増加の効果により熾烈な競争環境となっています。
そのなかで、いかに顧客数を確保していくかという重要課題の解決策の一つとして、タブレットを活用した顧客管理のサービスが出始めています。
今までの顧客囲い込み施策は、次回来店時に使えるクーポン配布やDMの送付など、どちらかというと、「次回メリットがあるので来てください」というメッセージ性の強い類のものが多かったような気がしますが、今回紹介したタブレットでの写真蓄積などは、価格的側面ではない、サービスとしての顧客ニーズに素直に答えるような性格のもので、顧客にも自然に受け入れやすいサービスかと思います。

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